行政書士はそこをちゃんと踏まえて仕事しないといけない<行政書士ってナニ? 規律編>
- RIE
- しかし、どうして役所はあんなに画一的なんですか?
融通が全然効かない… - 真栄里
- 画一性が役所の命綱だのにな?
- RIE
- え?
いつから先生は役所の回し者に?
はっ!
敵は本能寺に? - 真栄里
- 何言ってるのかわからん、相変わらず…
- RIE
- 要は、敵は近くにいたということです。
- 真栄里
- なんで俺が敵なんだよ。
RIEが俺の敵だよ。 - RIE
- ですから、てことは、先生はRIEの敵!
- 真栄里
- 暇なわけ?
俺仕事するけど? - RIE
- いえいえいえ、だから役所は融通が効かないって話です。
距離制限の数字とか、数10㎝くらい大目に見てもいいじゃないですか!
それを一刀両断で、ダメって…
石頭にもほどがあります。 - 真栄里
- 例えば、100m以上という距離制限規定があったとして、99mしか離れてなければ制限されるよな、当然。
- RIE
- 1mじゃないですか、100mのうちのたった1mですよ?
いいじゃないですか!目をつぶっても。 - 真栄里
- 規律の意味わかってる?
そんなことしてたら決めたことが意味なくなるだろうが(怒) - RIE
- あのですね、法律には、具体的妥当性という大切な基準があるんですよ。
99mも100mもほとんど変わらないんですから、具体的妥当性の観点から許可すればいいじゃないですか? - 真栄里
- あのなぁ、一方で法律には、法的安定性という重要な基準もあるんだよ。
わかる?
誰が判断しても同じ結論になるというのは重要だろうが。 - RIE
- それが融通が効かないって言ってるんですよ!
- 真栄里
- 「法の支配」って知ってるか?
RIEが言っているのは「人の支配」
人の支配は中世で終わったんだよ。
近代は「法の支配」の時代。
わかる法の支配? - RIE
- わかります。
ちゃんと法学部行きました。 - 真栄里
- 睡眠学習だろ?
- RIE
- …
失礼なことを。
本当のこと言ったらダメでしょうが。 - 真栄里
- …
なんで、決まりがあると思うんだ? - RIE
- 目安でしょ?
- 真栄里
- アホか。
目安なわけあるか、適当だな。
恣意的な判断を防ぐためだよ。
わかる?
それが法の支配の本質。
なんで赤信号で渡ったらダメか知ってるか? - RIE
- それは赤信号で渡ったら轢かれるからでしょ。
- 真栄里
- なるほど。
じゃ、対向から車が来ない場合はどうする? - RIE
- そりゃ、赤信号でも渡りますよ。
- 真栄里
- なんでよ?
赤信号だろ?渡ったらダメだろうが。 - RIE
- だって、赤信号であっても対向が来ないなら渡っても轢かれないじゃないですか!
アホみたいに待てと? - 真栄里
- 赤信号の意味がわかってないな、やっぱり。
- RIE
- わかってます。
赤信号で渡ったら轢かれて怪我したり、ひどいと死にますよ、だから赤信号では止まってください、という意味です。
そうであれば、赤信号でも対向が来ないで轢かれる心配がないなら渡っても大丈夫です。 - 真栄里
- 恐ろしいこというな。
じゃ、赤信号で、100m先に車がいる場合は? - RIE
- 渡りますね。
- 真栄里
- じゃ、50mだったらどうだ?
- RIE
- 渡るかもしれないです。
- 真栄里
- 30mだったら?
- RIE
- それは怖いかもしれません。
なんの話ですか? - 真栄里
- 要は、赤信号でも渡るか渡らないかは人によって変わるということだよ。
- RIE
- まぁ、そうですね。
- 真栄里
- もし、そんなことを認めるとどうなると思う?
- RIE
- 交通渋滞とかなくなるんじゃないですか?
- 真栄里
- こら!
そんなわけないだろ。
事故が多発するに決まってる。
一人一人の判断なんてあてにならんからな。
日によって、体調によって、気分によって違ってくるもんだからだ。
具体的な妥当性ばかりを考えていると結局、長い目で見ると不都合なことになるんだよ。
赤信号を渡って時短になったとしても、どこかで大怪我をしてそれまでの時短で稼いだ時間が吹っ飛ぶわけだ。
そうならないように、
個人の判断に任せないで、赤信号は渡ってはいけない、という決まりを作ったんだよ。
個人の判断に任せないで、という部分がポイントだ。
わかった? - RIE
- 窮屈…
- 真栄里
- 社会全体が上手く回るためには個人の判断を後回しにすることも必要になるってこと。
画一性が要求されるのはそういうことだ。
で、話は戻って… - RIE
- どこに戻るんでしたっけ?
- 真栄里
- RIEが振った話だろうが!
役所の画一性の話だよ。 - RIE
- あ〜、融通が効かないって話ですね。
- 真栄里
- あれも全く同じ。
個々の役所の職員が融通を効かしたのでは、法律はあってないものとなる。
それは「人の支配」であって、「法の支配」ではない。
100m以上とあるなら99mではだめ。
99.9mでもダメってことにしないと100m以上と規定した法律に違反することになる。 - RIE
- それは幾らなんでも…
そこまで厳しくしますかぁ?
そんな窮屈な法律なんてないほうがいいでしょ? - 真栄里
- それは我々国民が決めることであって、役所の一職員が決めるべきことじゃない!
だから役所は法律を画一的に適用するしかない。
というか、それが彼らの仕事だ。
そうでなければ、「全体の奉仕者」ではなくなる。 - RIE
- 厳しすぎ…
- 真栄里
- 行政書士はそこをちゃんと踏まえて仕事しないといけない。
法律の明文に反することを役所が認めないからと言って文句を言ってはいけない。 - RIE
- じゃ、役所の言いなりになれと?
- 真栄里
- それも違う。
- RIE
- …
意味わかりません!
どっちですか? - 真栄里
- 焦るな。
要は、役所の裁量の部分については役所と交渉することはもちろん有りってこと。
というか、そこでしか交渉する余地はない。
だから、我々行政書士は、役所の指示や指導が法律で一義的決まっている遊びのない部分に基づくのか、それとも裁量の中での指示・指導なのかを見極めないといけない。
この二つの場面で対応が変わってくるからな。 - RIE
- そういうことですか…
まぁわかります。 - 真栄里
- わかってもらえれば十分。
じゃ、仕事に戻るぞ。
あっ、そういえば、冷蔵庫にあった牛乳はどうした? - RIE
- RIEが飲みましたよ。
- 真栄里
- へ?
なんでよ? - RIE
- なんでって、あれは先生のだけのものじゃないでしょ?
事務所の冷蔵庫に入っていたんですから。 - 真栄里
- いやいやいや、牛乳は俺が飲むって知ってるだろ?
- RIE
- 知ってますけど、RIEが飲んではいけないってこともないでしょ?
- 真栄里
- 何だそれ!
どういう理屈だよ。 - RIE
- 事務所の冷蔵庫内にある牛乳をRIEが飲んではいけないっていう明文規定でもあるんですか?
有りますか? - 真栄里
- …
- RIE
- ないでしょ?
だったら、RIEが飲んでもいいはずです。
事務所の経費で買った物は事務所のものであって、事務所で働くRIEにも飲む権利はあるわけです!
ふん(怒)
ちゃんと決まりは画一的に適用してくださいよ! - 真栄里
- …
---規律編・終---
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