婚姻関係が破綻していない状況で取り消された場合は、その取り消しが認められるんじゃないですか?<行政書士ってナニ? 夫婦間契約書編 4>
- RIE
- 婚姻関係が破綻していない状況で取り消された場合は、その取り消しが認められるんじゃないですか?
- 真栄里
- 良いとこをつくね。
たしかに、理屈からするとそうなりそうだが、訴訟になった場合を想定すれば必ずしもそうはならない。 - RIE
- 訴訟ですか・・・。
離婚訴訟って気が重くなりますよね。
同級生の話を聞いただけでも大変だったのに・・・。 - 真栄里
- 大変だろうね。生々しい話がどんどん出てくるからな。
一番大変なのは当事者だけどね。
訴訟でそこまで言わないといけないというのは断腸の思いだろう。
特に沖縄は離婚率全国1位だ。苦しんでいるカップルが多いはずだ。
訴訟は弁護士の仕事だから弁護士に任せるとして、ここでは、訴訟になった場合を想定して夫婦間契約の取り消しについて考えてみよう。 - RIE
- (え?講義?なんか、自然に講義っぽくなってるけど・・・)
- 真栄里
- たとえば、次のような事例があるとしよう。
まず夫婦間契約書を作成しました。
その後、負担が重すぎるといって夫が一方的にこの契約を取り消すと言いました。
結局、夫の勝手な取り消しもあって、妻は離婚することを決意しました。
そこで、妻は夫に夫婦間契約の債務不履行を理由に、たとえば10万円相当の金品を要求しました。
しかし、夫は当然拒否です。
怒った妻は離婚訴訟を提起しました。
こういう事例で考えてみよう。
大丈夫か? - RIE
- え~と、契約書作成、取り消し、妻離婚決意・・・。
大丈夫です。 - 真栄里
- 民法的には、夫が夫婦間契約を取り消すと言った時点でその契約は失効するのは分かるな?
- RIE
- あ、はい。取り消しの遡及的無効の話ですね。
- 真栄里
- そうだ。
失効するわけだから、取り消し後に夫が契約違反をしても夫は契約違反の責任を問われないはずだ。
しかし、夫婦間契約を取り消したということはどうすれば他の人に分かってもらえる? - RIE
- 夫が自分で、夫婦間契約は~年~月~日に取り消しましたと言えば良いんじゃないですか?
- 真栄里
- そりゃ、夫は裁判所にそのことを主張しないといかんよ。
そもそも訴訟になれば、妻は、夫婦間契約を結んだことを主張してくる。
その契約の中に問題となる規定があると主張するわけだ。
これに対して夫は夫婦間契約を結んだとしても既に取り消したから、妻の主張は認められないと反論するだろうな。
RIEが裁判官だったら、夫と妻のどちらの言い分を認める? - RIE
- それは、妻ですよ。
- 真栄里
- なんで?
- RIE
- だって、約束を破った夫が悪いわけですから。
- 真栄里
- ・・・本当に法学部か?
---次話へ続く---
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