でもそうしないと先に勝手に1,000万円を引き出した長男に有利すぎでしょ?<行政書士ってナニ? 改正相続法編>7
- RIE
- 遺産範囲の見直しってどういうことですか?
- 真栄里
- 遺産の範囲を見直すってことだよ(笑)
- RIE
- そんなことは分かってます!
内容の話です(怒) - 真栄里
- 知ってるし(笑)
じゃ、具体例からあげてみるか。・相続人:長男+長女
・遺産:3,000万円(預金)
・特別受益:生前贈与3,000万円(長男に)この場合、どうなる?
- RIE
- 相続の結果ですか?
- 真栄里
- そう。
- RIE
- え~と、遺産の範囲としては、まず、預金3,000万円で、特別受益が3,000万円ということなのでそれも遺産に含まれますから、遺産は合計6,000万円となります。
- 真栄里
- おっ、ばっちりじゃないか!
基本ができてる。
俺のおかげかな。 - RIE
- 何言ってるんですか?
RIEの努力のたまものです! - 真栄里
- で、具体的にどうなる?
- RIE
- 長男と長女で半々ですから、遺産分割により、それぞれ3,000万円ずつ相続します。
- 真栄里
- で?
- RIE
- ?
ですから、それぞれ3,000万円ずつ相続します。 - 真栄里
- だから、預金3,000万円はどうなるのか?って聞いてるわけ。
- RIE
- 長女が全額もらいます。
- 真栄里
- OK!
そうなるな。
特別受益が3,000万円、長男にはあったからな。
長男は新たに相続するものがない。
で、この場合に長男が被相続人(ここでは父親としておこう)の預金1,000万円を父親の死亡直後に銀行から引き出していたとしよう。
どうなる? - RIE
- けしからんです!
- 真栄里
- え~と、まぁそうなんだけど。
長女はいくらもらえるんだ? - RIE
- 3,000万円でしょ?
- 真栄里
- 預金は2,000万円しかないのにな?
- RIE
- でもそうしないと先に勝手に1,000万円を引き出した長男に有利すぎでしょ?
そもそも銀行から長男だけで勝手に引き出せないはずでは? - 真栄里
- 法律上は父親の預金は、父親の死亡によって直ちに長男と長女に相続されているから、債権の準共有となり(最大決平28・12・19)、長男だけじゃなく長女も一緒じゃないと銀行から父親名義の銀行預金を引き出せない。なぜなら準共有された預金の引出し(払戻し)は準共有債権の処分行為にあたって相続人全員が共同して行使しないといけないからな。
だが、銀行が父親の死亡を知らない限り父親名義の預金を凍結することは事実上できないからその間に相続人の1人が勝手に預金を引き出すということがありうる。 - RIE
- 悪い奴ですね!
あっ、でも沖縄では、お悔やみ情報が新聞に載りますから銀行も直ぐに知るんじゃないですかね? - 真栄里
- そうだな。
でも、新聞に載せない人もいるし、載せるとしても翌日とか翌々日とかだからどうしても死亡と銀行がその事実を知ることの間にはタイムラグが生じる。
そのタイムラグの間に引き出せてしまう…。 - RIE
- なんと理不尽な。
でもその1,000万円を長女は取り戻せるんでしょうね? - 真栄里
- いや、これまではそうじゃなかった。
- RIE
- え~、おかしいでしょ!
---次話へ続く---
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