仮払い制度<行政書士ってナニ? 改正相続法編>9
- 真栄里
- 次は、「仮払い制度」だ。
- RIE
- あ~、先生が良くするやつ!
事務所のお金を何に使っているんだか! - 真栄里
- 仮払いなんてやったことないだろうが!
- RIE
- 牛乳購入費ですかぁ~(笑)
事務所にも先生の家にも牛乳が沢山あるんですけど? - 真栄里
- それで何かRIEに迷惑をかけたか??
- RIE
- 事務所の冷蔵庫に他の飲み物を入れるスペースが少ないんですけど?
- 真栄里
- …
「仮払い」というのは、預金債権で使われる制度だ。 - RIE
- 都合が悪くなるとスルーする…
既読スルーは嫌われますよ? - 真栄里
- 良いんだよ!
2016年12月以前は、預金債権を分割債権とする判例があり、法的には各相続人が銀行に相続分に応じて払い戻し請求をすることが可能ではあった。 - RIE
- ん?
そうでしたっけ?
なんか、相続人全員の遺産分割協議書が必要だったような気がしますけど? - 真栄里
- そうなんだよ、実務的には。
銀行は相続人全員の遺産分割協議書がないと払い戻しに応じないんだ。 - RIE
- ですよね。
今もですよね? - 真栄里
- そうだ。
2016年12月19日に新しく最高裁判決が出されて、預金債権は準共有となった。
つまり、遺産分割協議書(これが共有債権の処分に当たるんだ)がないと銀行に払い戻しを請求することができないことになったんだ。 - RIE
- 銀行実務の取扱い通りになったわけですね。
- 真栄里
- そういうことだな。
- RIE
- じゃ、これまでと何も変わらないですね。
- 真栄里
- 手続きはな。
でも、これまでもそうだったんだが、資力ある相続人が自分に有利になるよう遺産分割協議をしようとして遺産分割に応じない事例が結構あったようなんだ。
自分に有利にならないなら押印しないよ、というわけだ。 - RIE
- なんと意地汚い…
遺産分割協議書がないと銀行は払戻に応じないわけだから資力のない人には兵糧攻めみたいなものですね…
可哀想。 - 真栄里
- 根負けして、資力の少ない人に不利な遺産分割協議がなされがちになる。
そういった事態を防ぐために「仮払い」制度が作られたんだ(民法909条の2)。 - RIE
- どうなるんですか?
- 真栄里
-
預貯金債権額×1/3×法定相続分
が公式だ。
- RIE
- えーと、じゃあ、
預貯金額3,000万円
相続人が、妻と亡き夫の兄弟姉妹3人の事例だと…
3,000万円×1/3×3/4
で、えっと…750万円!
かなりの高額 - 真栄里
- まぁ、法務省令第29号で一金融機関ごとの上限が150万円となるけどな。
- RIE
- そうなんですね。
ん?でも一金融機関ごとの上限が150万円ということは、複数の銀行に3,000万円を分散させていればもしかして150万円以上の請求が可能ということですかね? - 真栄里
- お、今日は鋭いな。
そういうことになる。A銀行に1,200万円
B銀行に900万円
C銀行に900万円とすると、
A銀行→1,200万円×1/3×3/4=300万円(ただし、上限150万円)
B銀行→900万円×1/3×3/4=225万円(ただし、上限150万円)
C銀行→900万円×1/3×3/4=225万円(ただし、上限150万円)で、合計450万円となるな。
- RIE
- 結構な額になりますね。
これだと、兵糧攻めにも負けにくくなります。
公平な遺産分割がなされると良いですね。 - 真栄里
- なんか、大人なコメントだな。
どうした? - RIE
- 先生よりは大人です!
---次話へ続く---
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