債務者の帰責性はなくても債務不履行解除が可能<行政書士ってナニ?(NEW) 債権法改正編>5
2020年の4月1日からは債務者の帰責性はなくても債務不履行解除が可能となる。
でもどうして?
我妻先生のような伝統的な立場は、債務不履行に基づく契約解除を債務者に対する責任追及のための手段と捉えていたんだよ。
不法行為の被害者が加害者に責任追及するみたいな考え方だ。
だから責任を追及される債務者には責任を追及されるに値する事情、つまり帰責性(故意・過失)が要求されたんだ。
旧543条ただし書が新543条にはないからな。
履行の全部又は一部が不能となったときは、債権者は、契約の解除をすることができる。ただし、その債務の不履行が債務者の責めに帰することができない事由によるものであるときは、この限りでない。
とありましたね。
新543条では、逆に債務不履行について債権者に帰責性がある場合、債権者は解除することができない、となっていますね。
大きな方向転換になりますねぇ。
でもどうしてですか?
解除を契約の拘束力からの解放制度と捉える以上、少なくとも、債務者の帰責性を問う理由はない。
債務者の帰責性が不問となったとしても、契約の拘束力から解放するにはどういった不履行がないといけないか、は新たに問題となる。そこで新541条は、
…ただし、…債務の不履行が…軽微であるときは、この限りでない。
と規定している。
当事者がどういう合意を形成したのかにより、とある不履行が軽微なのか、重大なのかを判断すると。
じゃ、どういった場合が「軽微」な不履行に該当するか?
我々行政書士は具体で勝負だからその判断は重要だぞ。
今回の債権法改正によって条文と解釈論の距離は縮まってきた。これによって、法適用の予測可能性が高まったといえる。とはいえ、距離がなくなったわけではないからその距離を我々行政書士は埋めていかなければならないわけだ。
たとえば、ハーレーダビッドソンを新車で買うという契約を例に「軽微」な不履行なのかどうかを検討してみよう。
アメリカのバイクだと知ってるだろうが。
「そうそうそう、”伸びしろありますねぇ~”って、それじゅんいちダビッドソンだろ!」
みたいな。
でも嫌ですね。傷があるのは。
どういう契約内容なら不履行が「軽微」になるのか、契約書を作成する際に注意しないといけないな。
不履行が「軽微」になる場合はどういった契約内容の場合だ?
---次話へ続く---
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