マリー・アントワネット<行政書士ってナニ? 遺産の一部分割編>5
907条
1項 略
2項 略(本文)。ただし、遺産の一部を分割することにより他の共同相続人の利益を害するおそれがある場合におけるその一部の分割については、この限りではない。
3項 略
つまり、一部分割の許容性とは、他の共同相続人に不利益を与えない場合であることということですね。
結局、自由に一部分割をすることはできないということですね。
1789年フランス人権宣言第4条では、
自由とは、他人を害しないすべてのことをなしうることにある。
と規定してる。
かつてのフランスには、王を頂点として、国民は3つに区別されていた。
第1身分=聖職者貴族
第2身分=貴族
第3身分=平民(農民など)
だ。その身分の中で第1身分と第2身分は免税特権などの特権を与えられていた。
ルイ16世の治世下では財政が完全に行き詰まってしまったので、国王は貴族の免税特権を廃止しようとしたが貴族と対立した。そこで、身分制議会を求めた貴族の声に応じて1789年に議会を招集した。
ところが、第3身分は、自分たちだけで国民議会の開催を宣言したので、国王は武力でこれを鎮圧しようとした。
そこで、第3身分は、当時政治犯が収監されていたバスティーユ刑務所を襲撃した。このバスティーユ刑務所襲撃事件をきっかけにフランス革命が始まったんだ。
1789年7月から1795年8月までにわたる革命だ。
結果として身分制は廃止され、身分制から解放された第3身分の人々は自由となった。
自由とはいえ、身分制に拘束されないという意味での自由であって、勝手気ままという意味での無秩序ではない。
物を盗む自由があるとか人を傷つける自由があるわけでは当然ない。
そこを強調するのが、さっきのフランス人権宣言第4条だ。
自由と無秩序とは違うんだ。
あ、ルイなんとかという方は、もしかしてマリーアントワネットの夫ですか?
女性です。アメリカ出身の俳優ですよ。
あのスパイダーマン2や3でスパイダーマンの恋人役をしていた人です。
映画に興味ないんですか?
記憶に残らないようなストーリーが単純なハッピーエンドのアクション映画とかがいいな。
そういった意味では、アンハッピーエンドが多いフランス映画は大体苦手だ。
大学生の時に第二外国語がフランス語だったんだが、その時の先生があるフランス映画を講義時間を利用して見せてくれた。それがめちゃブルーになる映画だったんだ。
タイトルは「髪結いの亭主」。今でも鮮明に内容と部分部分の映像を覚えている。
なんであんな結末を主人公は選んだんだ?と今でもふと思う。
あの映画を見たのは朝一だったから午前10時には見終わったんだが、その日1日、どれだけ世界が暗かったか、真夏日和にも関わらずだ。
しかもその暗さが何日も何日も続いたから大変だったんだ。
言いたかったことは、自由には制約があるということだ。
一部分割の自由が認められたからといって、制約がないということではない、ということだ。
一部分割後に残る残余遺産での遺産分割において他の共同相続人の取り分がなくなるような一部分割の判決をすることはできない等が一部分割の許容性の話だ。
この裁判規範としての907条2項ただし書を理解しておいた上で当事者は交渉することが大切なわけですね。
当事者にも、争いになった場合の裁判規範を念頭においた上で欲張らずに話し合ってください、と説明すると無用な争いを少しでも減らすことができると思う。
しかし、遺産分割協議書を作成するにあたっては当事者から話を聞かないといけないんですが、なかなか事案の全貌が見えないことがあり困りますよね。
あるぞ!
---次話へ続く---
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沖縄在住の特定行政書士、真栄里です。
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