結婚観<行政書士ってナニ? 花火編>9
- 真栄里
- ひと昔は、結婚といえば、子供を産む、ということと同義だった。
- RIE
- そうですよ、だから、子供を産めない女性は離婚された、とかいう話も聞きました。
- 真栄里
- 聞いたことあるな。
今もあるとは思うけどな…。 - RIE
- でも今は、そんな結婚観では社会の変化に対応できませんよ!
- 真栄里
- DINKs(Double Income No Kids)、
要するに、共働きであえて子供を作らない夫婦がいるし、
それに、同性婚も認めるべきだ、という議論もある。
アメリカ合衆国では、2015年6月に、連邦最高裁判所が、
同性婚が憲法上の権利として保障されている、
と判断した。 - RIE
- 知ってます。
新聞にも載ってましたね。 - 真栄里
- 日本でも、同性婚が認められる時代が来るかもしれない。
- RIE
- でも、それは憲法改正が必要なんじゃないですか?
たしか、憲法24条の改正が… - 真栄里
- 条文はなんて書いてある?
- RIE
- えっ?
お祭りに行くのに六法なんて持っているわけないじゃないですか!! - 真栄里
- ダメだなぁ…
後部座席に六法があるから取って。 - RIE
- へ?
車の中に六法なんて置いているんですか? - 真栄里
- 置いてるさ。
なんなら、スマホの中にもあるし。 - RIE
- 病…
- 心中(R)
- 気だなぁ…
- 真栄里
- なんか言った?
- RIE
- い、いえ、RIEの時計の秒針が止まってるなぁ…と言おうとしただけです。
- 真栄里
- 時計なんかつけてないじゃないか!
- RIE
- …
…え~と、六法六法はと… - RIE
- ありました。
- 真栄里
- なんて書いてある?
- RIE
- えっと、
24条1項
婚姻は、両性の合意のみに基づいて成立し、夫婦が同等の権利を有することを基本として、相互の協力により、維持されなければならない。とあります。
両性の合意
とあるので、憲法は
“両性”、
要するに、男性と女性間の婚姻を認めている、ということになるはずです。
だから、同性婚を認めるには、憲法改正が必要なのでは? - 真栄里
- 字面に囚われすぎたらダメなんだよ、解釈においては。
- RIE
- で、でも明らかに“両性の合意”とありますよ?
- 真栄里
- この文言が何故あるのか?
その趣旨が重要なんだ。
そもそも、なんで24条が制定されたと思う? - RIE
- 「なんで…?」
ですか?
男女間の婚姻を認める趣旨を示すため? - 真栄里
- 違う。
現憲法が制定される前の旧憲法の下では、「家」制度に基づき、婚姻には戸主の同意が必要だったんだ。 - RIE
- “戸主”って?
- 真栄里
- “家”の統率者、要するに一番偉い者だ。
その戸主の同意がない限り、子供は結婚することができなかった。
正確には、戸主の同意がなくても結婚はできたが、同意を得ずに結婚した者を「家」の戸籍から排除する(離籍)ことができたんだ。 - RIE
- へぇ~、なんて不便な。
けしからん制度でしたね! - 真栄里
- だからこそ、駆け落ちをする男女もいたわけだ。
そんな「家」制度への反省から、家族に関する24条が制定された。
よく条文を見てみ!婚姻は、両性の合意「のみ」に基づいて成立し、
とあるだろ?
- RIE
- あります。
この「のみ」が重要なんですか? - 真栄里
- そう!
要するに、
両性の合意以外に他者の同意は不要だ、
という趣旨なんだ。 - RIE
- 結婚は、他者の同意がなくても、結婚をしようと誓った当事者の合意だけで成立する、ということですか?
- 真栄里
- そういうこと。
この文言の意味は、だから、「両性の合意」とは書かれてあるが、婚姻には婚姻当事者の合意以外に他者の同意は不要だ、ということを強調する点にあるわけだ。
なので、24条は、婚姻を両性間でだけ認めるという趣旨ではない。
つまり、憲法24条は、同性婚を禁じているわけではない、ということだ。
もっとも、憲法24条が、
同性婚を権利として積極的に保障しているのか?
同性婚を法律で認めることを許容しているのか?
に関しては争いがあるだろうが、いずれにしろ、憲法24条を改正しなくても法律で同性婚を認めることは可能だ。
後は、国会での議論、ひいては国民の議論に任されることになる。 - RIE
- なるほどぉ~。
恋話からよくもまぁ、憲法の話にしましたねぇ(ー。ー)フゥ
分かりました!
今日は、時間もたっぷりありますから、RIEも覚悟を決めて先生の話に付き合います。
だから、先生も存分に難しい話をしてください。
全部受け流しますから…! - 真栄里
- …
流したらダメだろうよ。
-----後部座席から六法を取るRIE-----
---次話へ続く---
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