仮定相互間の論理関係<行政書士ってナニ? 法律用語編>場合・とき・時
法律用語の場合・とき・時
意図的に漢字とひらがなになってるんだよ。
そうなんですか??
ナニが違うんです??
漢字の「時」は、英語で言えばTIME(時間)を表すときの法律用語で、
ひらがなの「とき」は、英語で言えばIF(仮定的条件)を表すときの法律用語なんだ。
知らなかった。
たとえば、民法3条の2には、
法律行為の当事者が意思表示をした時に意思能力を有しなかったときは、その法律行為は、無効とする。
とある。
これは、時間を表す「時」だから、意思表示をしたその時間(たとえば、4/26の午後1時)に、意思能力がなければ、その法律行為は無効だということだ。
同じ条文
法律行為の当事者が意思表示をした時に意思能力を有しなかったときは、その法律行為は、無効とする。
には「とき」というひらがなもある。
これは、仮定的条件の「とき」だから、意思表示をした時間(4/26午後1時)に、意思能力がなかった“場合”は、その法律行為は無効だ、と言っているわけだ。
「時」で意思表示をした時間を特定して、
その時間に当事者が意思能力を有しなかった場合を仮定して、
意思表示の効力について規定しているわけですね!
とするとですよ、仮定的条件を表す「とき」と「場合」って同じ意味?
いいところに気がついたな。
と言っても遅いが(笑)
先生は、さっき「とき」の説明の時に、“場合”と言っていました。
「とき」も「場合」もどちらも仮定的条件を表す点で同じ意味なんだよ。
とはいえ、珍しいですね。
言葉が違えば意味も違うと先生も言っていたのに、同じなんて。
二つの条件を重ねる必要がある場合は、「とき」と「場合」が厳密に使い分けられるんだ。
ややこい用語じゃないですか!
簡単だよ。
最初の大きな条件に「場合」を用い、その条件の中のさらなる条件に「とき」を用いるという決まりがあるだけだ。
たとえば、次の条文を見てみよう。
後見開始の審判をする場合において、本人が被保佐人又は被補助人であるときは、…
とある。
後見開始の審判をする場合、というのが一番大きな条件で、
その条件の中での、本人が被保佐人…であるとき
と、さらに条件が重ねられているんだ。
なんかこんなこと言う人がそばにいたら嫌ですね。
厳密さ確保のためには仕方ない。
もし「場合」と「とき」を逆にすると意味不明になる。
たとえば、
私がAさんと結婚した場合に、一緒に新婚旅行に行くときは、ぜひハワイに行きたい。
という文があったとする。
この意味はわかるだろ?
私がAさんと結婚したという仮定の場面がまずあって、その仮定の場面の中で、私がAさんと新婚旅行に行くという仮定の話がある、ってことですよね。
これが、逆だと、
一緒に新婚旅行に行く場合に、私がAさんと結婚したときは、ぜひハワイに行きたい。
となる。
どうだ?
新婚旅行に行くとの仮定には、新婚旅行と言っている以上、既に私とAさんは結婚していることが前提にあるはずですから、結婚を仮定するのはおかしいですね。
RIEから正しい文を一つ!
RIEが先生と結婚した場合に、一緒に新婚旅行に行くときは、是非船旅で世界一周旅行をしたい!
ほんとですか??
やった!
どんな話も仮定で成り立つ。
法律用語の場合・とき・時の話はこれで終だ。
---法律用語の場合・とき・時「終」---
前回の死亡していないのに死亡?<行政書士ってナニ? 法律用語編>みなす・推定もご一読していただけると幸いです。
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沖縄在住の特定行政書士、真栄里です。
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