アメリカの法律が日本で、もし効力があるとすると、日本はアメリカの1つの州ってことになるんじゃないですか?<行政書士ってナニ? 国際遺言編 2>
- 真栄里
- まず、国際私法って、国際関係を扱う法分野なんだ。
- RIE
- 国際関係かぁ。
あー、「インターナショナル」っていうことですね。 - 真栄里
- そういうこと。沖縄は、日本の中でもインターナショナルな地域だ。
でも、ただの、インターナショナルではないぞ。インターナショナルな私法関係を扱うわけだ。 - RIE
- 「私法関係」ですか?
- 真栄里
- 早い話が、国家とか、公務員が関係するのではない、法律関係のこと。
先ほどの相談者の方は、遺言という相続関係の問題だった。それは、私法関係の問題だ。良くある売買契約も私法関係の問題だ。 - RIE
- ふ~ん、私法関係ねぇ(大学の講義で聴いたことあるかも)。
- 真栄里
- 分かってんのか?大学の講義ちゃんと聴いてただろ?
- RIE
- もちろん、聴いてましたよ(寝ながら)。
- 真栄里
- 日本人であっても外国に住んでいると、その外国の法律に従って生きていくわけだ。
そうすると、遺言をする際、普通は、住んでいるところの法律に基づいて遺言書を作成するよな。 - RIE
- そうですよね。
- 真栄里
- その場合、その遺言書が日本でも有効なのかが問題となるんだ。
- RIE
- えー、無効でしょ?
だって、アメリカの法律が日本で、もし効力があるとすると、日本はアメリカの1つの州ってことになるんじゃないですか? - 真栄里
- お、冴えてるな。
たしかに、何の前提もなく、アメリカの法律が日本でも有効となると、日本がアメリカの1州でなければ筋が通らない。
では、日本がアメリカの1州でない以上、アメリカの法律は日本で何ら効力を持たないということで良いか? - RIE
- 国が違うんだからしょうがないんじゃないですか?
- 真栄里
- う~ん。
じゃ、こんな事例でどうだ。
アメリカ在住の日本国籍保持者のAさんが莫大な遺産を残してアメリカで死亡したとしよう。
その人は、アメリカでアメリカの法律に基づく遺言書を作っていたんだ。その内容は、日本にある全ての財産を、自分の子供ではなく、自分の面倒を最後まで看てくれた近所の日本人に譲るということだったとしよう。
その場合、その近所の人は遺産をもらえるだろうか? - RIE
- え~と、日本の法律に従った遺言書はないですから、その遺言書は、日本では効力を持たない。
ということは、その日本人は遺産を相続できない。という結論になりますか。 - 真栄里
- そうなるな。
しかし、それで良いのかね?
その金持ちのAが日本の法律に従った遺言書を作っていれば、その近所の日本人は遺産をもらえたが、アメリカ法に従った遺言書だったら、いっさいもらえないというのはどうなんだろう?
RIEがその近所の日本人だったと想像してみ!
納得できるか? - RIE
- それは、納得できません。子供達はいっさい親の面倒を見ていないのに、そして、Aさんも子供達には相続させないという明確な意思を持っていたのに、子供達へ相続させるなんてありえません!
- 真栄里
- だよな。
そこで、登場するのが、国際私法なわけさ。 - RIE
- 行政書士って、そこまで知らないといけないんですか?
- 真栄里
- そんなことはない。
ただ、ロースクールですっごい勉強したし、かなり好きな科目だったからな。 - RIE
- 勉強しないで良いんだぁ~、良かったぁ~。
- 真栄里
- でも、国際的な相談となれば国際私法の知識が役立つだろうな。
- RIE
- え!?どっちなんですか?(怒)
---次話へ続く---