血の通っていない人間みたい…<行政書士ってナニ? 契約書リーガルチェック編>5
- 真栄里
- 「特定目的会社」は投資会社みたいなものだ。
多くの人から出資を募る。
大口出資者から小口出資者まで様々だ。
RIEが会社の社長だったら、どの出資者を優遇する? - RIE
- それは、もちろん大口出資者です。
- 真栄里
- だろ?
- RIE
- だから?
- 真栄里
- だったら、大口出資者を優遇するための条項を設けるだろ?
- RIE
- それが、
「破産手続開始の申立てをすることができない」とか
「強制執行手続きを申立てる権利を放棄する」
とかいう条項なんですか? - 真栄里
- そういうこと。
要するに、そういう条項を設けることで会社と大口出資者間の約束を守るわけだ。 - RIE
- どういう約束です?
- 真栄里
- 債権者平等原則に従わないという約束だ。
- RIE
- えっ、それは可能ですか?
- 真栄里
- 可能だろ?
民法でも債権者平等原則を破る権利があるだろ? - RIE
- 抵当権?
- 真栄里
- そうだ。
あれは、抵当権者が他の債権者よりも優先して債務者から債務を取り立てることを可能にする物権だ。
「特定目的会社」が破産状態になった場合、債権者平等原則に従えば、大口出資者も小口出資者もいずれも債権額に案分比例した額を取り戻すことができるにとどまる。
ところが、上のような約束、具体的には、大口出資者に優先して弁済するというような約束をしておけば、大口出資者は安心して出資することが可能となる。 - RIE
- そうすると、出資者からの大口出資が望めるということですね。
- 真栄里
- そういうこと。
もし、「特定目的会社」が破産状態になった場合に、債権者が破産手続開始の申し立てをすると、裁判所が関与して、「債権者平等原則」に従った手続きが開始されてしまう。
それだと、会社と大口出資者の約束は守られないことになる。
だから、上のような約束が結ばれるというわけだ。 - RIE
- なるほど。
凄い制度があるんですね。
知りませんでした。
資本主義経済ってわけわかりません。 - 真栄里
- これからの時代、経済学の勉強もしていた方が良いぞ!
- RIE
- 先生は法学一本だから経済学勉強していないでしょ?
- 真栄里
- いやいやいや、経済も好きだから勉強はしているよ!
ベンサムやミルとかの「功利主義」、
ノイマンの「ゲーム理論」とかかなり好きだ。
進むべき学部を間違えたかと思うくらい。 - RIE
- 大学の一般教養で聞いたことはあります。
たしか、人間の社会を金銭的な損得だけで分析する学問ですよね?
あ~、だから先生はそんなんになったんですね…。 - 真栄里
- おい、なんだそれ!
どういう意味だ?
なんか俺が血の通っていない人間みたいな言い草だな(怒) - RIE
いえいえいえ 、そんなことはあります 。- 真栄里
- どっちなんだ!
そもそも、金銭的な損得だけで分析するというのは間違いだし、俺はそうじゃないし。
ただ、結論を出す際の一資料としてタブーを設けずに金銭的な損得勘定をするというのは大切であって… - RIE
- あ~、はいはい、わかっています。
最後は、道徳的判断を含む全人格をかけた価値判断をするということですね。
そもそも、金銭的な損得勘定だけだったら先生は今頃金持ちになっていたはずです。
そうじゃないということは、そういうことです。 - 真栄里
- はぁ?
意味わからん。
それは金持ちへの文句か、それとも金持ちじゃない俺への文句か?
どっちにしろダメだろ。 - RIE
- RIEは、先生に投資します。
- 真栄里
- いや、俺がRIEに投資してるんだけど?
- RIE
- 投資の内容が違います。
RIEは先生にRIEの時間を投資します、してますけど!
この世で一番すごい投資ってなんだか知っていますか? - 真栄里
- さぁ?
- RIE
- 人の時間です。
時間はみな平等で、投資することができる時間はみな同じなんです。
その時間をRIEは先生に投資します。 - 真栄里
- ・・・?
意味は良くわからんけど、ありがとう。
---契約書リーガルチェック編・終---
☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆
日頃からのご支援、誠にありがとうございます。
少しでも多くの方に読んでいただきたく、下記2つのブログに参加しております。
応援クリックをよろしくお願いいたします。