夫婦間契約は婚姻中はいつでも取り消すことが出来ると、たしかに民法に書いてある・・・<行政書士ってナニ? 夫婦間契約書編 3>
- 真栄里
- 夫婦間契約は婚姻中はいつでも取り消すことが出来ると、たしかに民法に書いてある(民法754条本文)。
しかし、夫婦間契約書を作成することは無意味ではない。
夫婦間契約を取り消す場合がどんな場合かを考えてみようか。 - RIE
- その契約が重荷になった場合ですよね。
- 真栄里
- 重荷がどんどんどんどん積み重なっていくとRIEならどうする?
- RIE
- 私は約束はちゃんと守りますから。
- 真栄里
- 想像するんだよ。想像力は大事だぞ~。
- RIE
- え~と、だんだんいらいらしてきて喧嘩すると思います。
そして、相手が分かってくれなければ家を飛び出ちゃうかも・・・ - 真栄里
- そんな感じだろうね。
もっとひどくなると、別居状態ということも考えられるな。沖縄は離婚率が全国平均よりも高い、というか日本一だからそういう夫婦が多いかも知れない。
その時にあの夫婦間契約は取り消すということも多いだろう。 - RIE
- あ~、そうですね。最後の手段みたいな。
- 真栄里
- その取り消しは認められると思う?
- RIE
- え?だってまだ結婚中ですからその取り消しは認められるのでは?
- 真栄里
- 「婚姻中」という条文の文言からはそう考えることも可能だけど、その条文(民法754条「夫婦間でした契約は、婚姻中、いつでも、夫婦の一方からこれを取り消すことができる。」)は何故規定されたと思う?
- RIE
- それは、夫婦っていうのはとても親密な関係にあるので、契約の拘束力は弱めても良いという価値判断があると大学の講義で聴いた記憶があります。
- 真栄里
- そんなところだ。
日本はそもそも契約意識が弱い社会だ。契約書という形で権利義務関係を規定することをあまり好まない社会といえる。
親密な関係間ではなおさらそうだろう。
愛情が基本にある夫婦間を権利義務で縛ることはあまり妥当ではないと立法者は考えたわけだ。
ということで「夫婦間でした契約は、婚姻中、いつでも、夫婦の一方からこれを取り消すことができる。」という条文が規定されたわけだ。
そうすると、さっきの別居状態での夫婦間契約の取り消しはどうなると思う? - RIE
- え~と・・・別居しているわけですから、親密な関係がなくなったといえる場合があると思います。
ということは、取り消しできない? - 真栄里
- 結論としては最高裁判所はそう言っている。
つまり、「婚姻中」という文言は、婚姻届をしていて離婚届を提出していない夫婦で、仲良く暮らしている(婚姻関係が破綻していない)場合をいうということになるな。内縁関係がどうなるかは今は置いておこう。 - RIE
- じゃあ、別居して修復不可能な夫婦間では、以前に結んだ夫婦間契約を取り消すことができないということになるんですね。
へぇ~。
たしかに、その場面では夫婦といえども自由に契約を取り消すことが出来ませんから夫婦間契約書を作るメリットはありますね。
でも、この話でいくと、婚姻関係が破綻していない状況で取り消された場合はその取り消しが認められるんじゃないですか? - 真栄里
- ところがそうともいえないんだよ。
---次話へ続く---
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