民法

骨太な理解を!<行政書士ってナニ? 資格講座編>行政書士講座-代理

民法

RIE
大学での民法の講座どうですか?

真栄里
行政書士のか?
RIE
そうです。
真栄里
一年生が頑張ってるな。
RIE
へぇ〜。
にしても、一年生にいきなり民法はキツいでしょ?
真栄里
そりゃそうだろう。
なにせ、民法は初めて学ぶ分野だからな。
高校までの科目とはまったく違う。
RIE
やれ、こういった義務があなたにはあります、
こういった権利があなたにはあります
って話ばっかりですし。
真栄里
まぁそうだが、
どういった場合に権利を取得し義務を負うのか?
ということを民法は規定しているんだから重要だ。
RIE
なんとかわかりやすくなりませんか??
真栄里
俺も努力しているか限度がある。
ただ、順を追って理解していけば絶対に理解できるはずだ。
RIE
たとえば??
真栄里
そうなだぁ。
たとえば、代理制度だな。
なぜ、代理制度がないといけないのか?
代理制度の趣旨と言われている部分だが。
RIE
私的自治の拡充ですよね。
真栄里
だな。
私的自治の大と補ということだが、なぜ、私的自治を拡充する必要があるのか?
ということを自分を基準に具体的に考えてみることがまずは重要だろうな。
たとえば、自分は沖縄にいて、カナダに相続した土地家屋があるとしてそれを売りたい、という場合どうするか?とかな。
RIE
まぁ、方法としては自分でカナダに行って売っぱらってくるか、
他の人に頼むかですよね?
真栄里
パスポートがあり、英語やフランス語に不自由しないなら直でカナダに行けばいいだろうな。
だがそうではない場合、他の人に頼む必要があるだろう。
その時に、代理制度を利用するとかなり便利だ。
RIE
自分の代わりを務めてくれる人(代理人)を用意して、その代理人に自分の財産を売ってもらい、買主から代金をもらって、買主に自分の財産を引き渡すというわけですね。
代理制度の必要性が理解できたとしても、代理制度の法的な仕組みを理解するのは簡単ではないと思いますよ。
真栄里
大丈夫。
簡単だ。
RIE
そんなわけないもん!
真栄里
基本的なことから順に理解していくんだよ。
コツはそれだけだ。
たとえば、
代理を理解するためには、まず、当事者が直接契約を結ぶ売買契約とかから考えればいい。

売主Aが買主Bに自己所有の土地建物を売る

という例から検討するんだ。
RIE
それは簡単すぎるでしょ。
代理の理解にどう役立つんですか?
真栄里
まぁ、まずは聞いておけ。

上のAB間では、契約という法律行為をする主体(行為主体)はAとBだな。
RIE
ですね。
真栄里
で、その契約によって、売主Aは土地建物を買主Bに引き渡す義務を負い、買主Bは売主Aにその代金を支払う義務を負うわけだ。
法律効果の帰属主体(効果帰属主体)もAとBなわけだ。

行為主体=AとB
効果帰属主体=AとB

となる。
つまり、
当事者が直接契約を結ぶ売買契約の場合、

行為主体=効果帰属主体

となっている。
このことをまずは理解することが大切だ。

RIE
そういう分析をするんですねぇ。
真栄里
いや、俺が考えたことじゃないぞ?
基本書に書かれていると思う。
RIE
基本書ねぇ…
読んだことあったかなぁ(笑)
真栄里
法学部なら読まんとダメだろ!
RIE
まぁまぁ。
で、代理の場合は?
真栄里
まったく(怒)

代理の場合は、登場人物が一人増える。
たとえば、

売主A(本人)が甲を代理人として、買主B(相手方)に自己所有の土地建物を売る

という例で考えてみよう。
この場合の、契約行為の主体(行為主体)は誰だ?

RIE
代理の場合は、代理人甲がBと契約を結ぶわけですから

行為主体は甲とB

です。

真栄里
だな。
じゃ、効果帰属主体は?
RIE
えっと、
上の代理の場合、本人Aに代わって代理人甲に本人の財産を売ってもらい相手方BからAが代金を受け取るわけで、BもAにその財産の引き渡しを請求するわけですから

効果帰属主体はAとB

ですね。

真栄里
ということは、

代理の場合、行為主体と効果帰属主体がズレる!

ここを理解することが重要だ。


これが代理制度の肝になる。
骨太な理解をまずはしないといけない。

RIE
なるほどねぇ…
だとしてもですよ、その骨太の理解がなにか具体的なものに影響しているんですか??
真栄里
影響するから骨太に理解しようって話をしているんだよ??
たとえば、

・代理行為の瑕疵については代理人を基準とするという民法101条1項
・代理人は制限行為能力者でも可能だという民法102条

などがこの代理の構造から導かれてくる。

RIE
そうなんですか??
どこら辺から??
真栄里
制限行為能力者、たとえば、未成年者が単独で勝手にバイクを購入するという契約をした場合、民法ではどうなる?
RIE
もちろん、その契約は取り消し可能です。
真栄里
だな。
じゃ、なんでだ?
RIE
えっと、それは不利益な契約を結ばされている可能性がある未成年者を保護するためです。
真栄里
だな。
不利益な(たとえば市価よりも高額で)契約を結ばされたとすると未成年者はどうなる?
RIE
バイク購入の話だと、その未成年者は高額な代金を払わないといけません。
真栄里
つまりは、その未成年者は、その契約の効果帰属主体となって代金支払い義務を負担することになるから、その義務を免れるために民法では取り消しが認められているわけだ。
未成年者は行為主体であると同時に効果帰属主体でもあるからな。
RIE
ですね。
真栄里
ところがだ、
代理人が未成年者の場合はどうなるかというと、代理人は行為主体ではあるが、効果帰属主体ではないよな。
A(本人)
甲(代理人)
B(相手方)
の登場人物の話に戻ると、
行為主体は甲(代理人)とB(相手方)で、
効果帰属主体はA(本人)とB(相手方)だ。
代理人甲にはこの契約から生じる法的効果が帰属することはないわけだ。
とすると、代理人甲が未成年者の場合、未成年者が負担した義務を免れさせるための取り消しを認める必要はないよな?

RIE
あ、なるほど、そうですね!
真栄里
な?
簡単だろ?
骨太に理解すると制度全体の理解が容易になるんだよ。
RIE
わっかりました!
RIEももっと骨太に生きていきますね。
真栄里
えっと
それはやめよう。
RIEの場合はもっと小骨を大切にしたほうが良い。
切り捨てすぎるから、色々と。

---終---

前回の、
東京に行政書士事務所移そうかなぁ<行政書士ってナニ? 日行連総会編>2023
もご一読いただけると幸いです。

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沖縄在住の特定行政書士、真栄里です。
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One Reply to “骨太な理解を!<行政書士ってナニ? 資格講座編>行政書士講座-代理”

  1. ピンバック: mayと権利行使

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