「失踪と小麦粉と松阪牛」<行政書士ってナニ? 言語分析編>“その他”・“その他の”
「その他」と「その他の」って意味違うんですか??
たとえば、民法30条に失踪宣告に関する規定がある。その第2項の特別失踪の規定にはこう規定されている。
(失踪の宣告)
第三十条 (略)
2 戦地に臨んだ者、沈没した船舶の中に在った者その他死亡の原因となるべき危難に遭遇した者の生死が、それぞれ、戦争が止んだ後、船舶が沈没した後又はその他の危難が去った後一年間明らかでないときも、前項と同様とする。
「その他の」は包括的例示
とされている。
並列は、A=B=C
包括は、X<Y
みたいな?
「その他」が使われている部分の、
・戦地に臨んだ者
・沈没した船舶の中に在った者
・死亡の原因となるべき危難に遭遇した者
はそれぞれ並列だ。同列なので、上位概念・下位概念はない。
これに対して、
「その他の」が使われている部分の、
・戦争
・船舶が沈没した
は、
「危難」の一例だ。
つまり、「危難」の中には、「戦争」「船舶が沈没した」が含まれているわけ。
上位概念としての「危難」と下位概念としての「戦争」「船舶が沈没した」 がある。
ややこしいですね、「の」のあるなしで上位概念・下位概念のあるなしが決まってくる…
一般人が読んでもわかるわけないです。
知っておかんと。
あと、言葉に敏感になっておかんと仕事で痛い目見るから気をつけないと。
日常会話でだって一語のあるなしで意味が変わってくることはあるからな。
「北海道産小麦」使用
と言っていた。
だが、
「北海道産小麦粉」使用
であったらどうなる?
「北海道産小麦」使用
と
「北海道産小麦粉」使用
では何がどう違う?
「北海道産小麦」は、北海道産の小麦で、
「北海道産小麦粉」は、北海道産の小麦粉
でしょ?
何が違うかわからん、その説明だと。
「北海道産」というのは、北海道での生産ということだろ?
ということは、
「北海道産小麦」は、北海道で生産された小麦で、
「北海道産小麦粉」は、北海道で生産された小麦粉
ですね。
で、あと一歩踏み込んでみると、
「小麦」と「小麦粉」の違いは?
じゃ、
「北海道産小麦」と
「北海道産小麦粉」
の違いは?
なぞなぞです?
そこは論理の問題じゃなく、先生の意思の問題ですから。
・北海道で生産された小麦粉…
・小麦粉は、小麦の加工品…
はっ!
エウレカ(Eureka)!
「北海道産小麦粉」は、小麦の加工品である小麦粉が北海道で生産されているということしか言っていません。
小麦粉の原料である小麦が北海道で生産されたのかについては何も言っていない!
逆に、「北海道産小麦」は、小麦粉の原料である小麦自体が北海道で生産されている!
「粉」の一語が入るかどうかで意味が変わってくるのがわかっただろ?
日常生活でもそういった例はたくさんあるんだよ。
見逃しているだけで。
はっ、エウレカ!
「交響詩篇エウレカセブン」のことです!今年の11月に映画が上映されます!
よかったな。観に行ったらいいさ。
で、なにがわかったんだ?
あ、「松阪牛」のことです。
聞いたことはあるが。
つまり、牛の品種ではなく、牛の産地のことなんです。
ということは、松阪牛は、松阪(とその近郊)で飼育された牛であって、松阪で生まれた牛のことをいうわけではない
詳しいな。
さすが肉食系。
日常生活でも言葉の世界は深いですね。
今日のディナーは事務所のすぐ近くの「牛角」に行きましょうよ‼️
RIEが奢…
今日のまとめ。
「失踪と小麦粉と松阪牛」!
---終---
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沖縄在住の特定行政書士、真栄里です。
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