行政書士って相続放棄の申述書を業として作成して良いんですか？＜行政書士ってナニ？　相続放棄申述書編＞裁判所に提出する書類

RIE

行政書士って相続放棄の申述書を業として作成して良いんですか？

真栄里

素直な法解釈からはダメだな。

RIE

どうなってるんです？

真栄里

自分で、行政書士法と司法書士法とかを調べてみろよ。

RIE

行政書士は、官公署に提出する書類を作成することができます。行政書士法１条の２にそう書いてあります。
裁判所だって官公署ですから、裁判所に提出する書類である相続放棄の申述書を行政書士も作成することができそうですけど？

真栄里

行政書士法第１条の２には第１項だけじゃなくて、第２項もあるだろ？そこを見てみろ。
なんと書いてある？

RIE

行政書士は、前項の書類の作成であつても、その業務を行うことが他の法律において制限されているものについては、業務を行うことができない。

とあります。

真栄里

ということは、行政書士法第１条の２第１項にいう「官公署」は、同条第２項の「他の法律」によって制限されるという仕組みになっているわけだ。

RIE

え〜、そしたら、他の法律次第で行政書士がすることができる業務の範囲が決まるということですか？

真栄里

そういう仕組みになっているな。

RIE

なんかインチキっぽい。
で、行政書士は裁判所に提出する相続放棄の申述書を作成することはできないんですか？
何法に書いてあるんです？

真栄里

司法書士法第３条１項には司法書士ができる業務が列挙されている。特に４号を見てみ。

RIE

裁判所若しくは検察庁に提出する書類…
長いです。意味わかりません！

真栄里

…投げ出すなよ。
要するに、裁判所に提出する書類を作成することは司法書士の業務だと書いてある。

RIE

へぇ〜。
とはいえ、裁判所に提出する書類にも訴状から相続放棄申述書まで様々ありますよね？
そこでいう「裁判所に提出する書類」は裁判所に提出するすべての書類とまでは言えないんじゃないですか？

真栄里

文言を形式的に見れば「裁判所に提出する書類」には、裁判所に提出するすべての書類を含むといえるだろう。
ということは、「裁判所に提出する書類」に相続放棄申述書は含まないというならば相応の理由が必要になる。その理由があるかどうかが一つ大きな問題となるな。

RIE

形式論理を重視しすぎじゃないですか？

真栄里

形式論理、ここでは文理解釈だが、文理解釈は法律解釈で重要となる部分だぞ？
そこを疎かにすることは法の支配を崩しかねないから避けることが無難だ。
ただ、文理解釈ではかなりおかしな結論になるというような場合に趣旨からの解釈といった目的論的解釈を取っていくというのが解釈の順序だ。

RIE

めんどくさいですねぇ。

真栄里

おい！
行政書士だって法律を扱うプロなんだ。そんなことを言うんじゃない。
めんどくささが法の支配のキモでもあるんだ。

RIE

キモはキモでも鳥キモがいいです！
早く居酒屋で思う存分ビールとか日本酒とか島酒とか飲んで焼き鳥とか食べたいです！

真栄里

話聞いてるか？

RIE

聞いてますん。

真栄里

「ますん」？
聞いてるのか、聞いてないのかどっちだ！

RIE

文脈に任せます。

じゃあですよ、百歩譲って相続放棄申述書も「裁判所に提出する書類」だとしてですよ、その申述書の作成業務が司法書士の独占業務と言えますか？
司法書士のみならず、行政書士もその申述書を作成することができるって可能性もありませんか？

－－－次話へ続く－－－

☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆
日頃からのご支援、誠にありがとうございます。
沖縄在住の特定行政書士、真栄里です。
特定行政書士や行政書士の仕事について少しでも多くの方に理解していただきたく、下記のブログに参加しております。
応援クリックをよろしくお願いいたします。